DEFENDER V8 モデルは熊の皮を被ったインテリな狼だ
『Hypebeast』編集長の森口徳昭が、ディフェンダーに新たにラインナップしたV8モデルに試乗。長野県の山間部を駆け抜けた
ディフェンダーの真打ち登場
ここ日本では、ラグビーワールドカップ2019日本大会の表彰式でトロフィーとともに初登場した新型DEFENDER(ディフェンダー)。あのお披露目から4年。ラグビーワールドカップ2023フランス大会が行われた今年、ディフェンダーのV8モデルが日本に上陸した。この新型ディフェンダーは、登場より4年が経っているが、まったく持って前衛的な見た目である。そして、この4年の間に大幅にラインナップが拡大中。3ドアショートボディの「90」、5ドア・2列シート5人乗り&3列シート7人乗りの「110」、3列シート8人乗りの「130」を軸に、「90」に待望のディーゼルエンジンモデルが加わったり、「130」に5人乗り仕様グレードが登場したほか、「90」と「110」で初めて5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンが導入された。カタログで2024年モデルのラインナップを数えてみると、全部で16モデルもあった。これならディフェンダーからディフェンダーへ乗り換える人もいるだろうし、ディフェンダー2台持ちもあり得るぐらいに豊富なバリエーションだ。
ディフェンダーの新モデルのなかでも、V8は待ちに待った人も多いだろう。雰囲気に享楽趣味丸出しの要素はなく、知的なスタイリングなのに、最高出力は525PS。屈強で俊敏なラガーマンを、そのままクルマにしたような感じだ。そして、このV8モデルが日本上陸のタイミングで、長野県で試乗会が行われた。
車高を上げて
まずは、長野県の林道や山道を走行した。V8モデルだから、サーキットでも走る?とも試乗会の案内が来た時に想像したが、そこはディフェンダー。最初に持ち前の悪路走破性の確認だ。試乗日当日はあいにくの雨だったが、まったく持って楽勝。最大傾斜角は45度で、オフロードの坂は簡単によじ登れる。ドライブモードは泥、轍&草、砂利、雪、などから選択でき、それぞれに最適化された車両制御を自動で行ってくれるから精神的にも安心。そして今回は、ディフェンダーに通常装備の3Dサラウンドカメラを駆使。ガードレールのない、崖の脇道も走行したのであるが、前輪横の映像をセンターディスプレイで確認ができるので、同乗者とその映像を見ながら、ドギマギ、ではなくむしろ“エンジョイしながら”走行できた。また、ボンネット下の路面状況が映像で確認できるClear Sightグラウンドビュー機能もついており、ごろごろとした石の上を難なく走行する映像も楽しめた。旧型のディフェンダーでは想像できないぐらいに、“インテリ”に仕上がっており、どこまでも山を走行したくなるような冒険心が芽生えた。
車高を下げて
続いてオンロードを走った。アクセルを踏み込むと、V8サウンドが吠える。“グオングオン”というサウンドに包まれながらの走行である。ディフェンダーなのに獰猛というのは、特殊な感覚。この走りの質感は、誤解を恐れずにいうと、他の大排気量ラグジュアリーSUVに似ているは似ている。大きな熊サイズなのに、フィーリングは狼のようなスポーツカー。なのであるが、ディフェンダーV8の場合、見た目は新・英国顔で落ち着いているという点がにくい。またステアリングの裏にはパドルシフトも発見(こちらはディフェンダー史上初)し、きっとサーキット走行しても楽しんだろうな、という想像ができた。
ディフェンダーV8があれば、キャンプやフライフィッシングなどにいく道中のワインディングなどがもっと楽しくなるだろう。そして、降りた後にまたすぐに乗りたくなる、スポーツカーに乗った後と同じあの感覚がこのディフェンダーV8にはあった。
DEFENDER 110 V8
【SPEC】
全長4945×全幅1995×全高1970mm
ホイールベース3020mm
車両重量2450kg
5.0L V8スーパーチャージドガソリンエンジン
最高出力386kW(525PS)/6500rpm
最大トルク625Nm/2500〜5500rpm
8速AT AWD 5人乗り
車両本体価格1588万円〜